Ataúd artesano de la casa de enfrente.(お向かいの棺桶職人)

サンペドロに来てから目覚ましを使わなくなった。

なぜなら、

毎朝向かいの簡易工場から、

様々な作業ミュージックが流れて来るからである。

 

その日はいつも通りに目が覚め、

外を見るとボロボロの工場には

シルバーに光る大きな箱が出来ていた。

お父さん(師匠)と、息子がそれを囲んで話し込んでいる。

 

息子のヘンショウは明るく何時も話しかけてくれる。

スペイン語が話せない自分を見かねてかもしれないが…

「ヒローシー!カモーン!!」

的な事を手招きされながら言われ

カメラを持って何時も上から眺めていた工場に向かう。

隣の庭から、ニワトリ小屋を越える。

トタン屋根の中に入ると、

シルバーに光る大きな箱が棺桶である事が分かった。

 

作業していた二人は手を休め、

早口のスペイン語で細かな所まで説明してくれる。

そんな優しさに答えようと、

こちらも何時も以上に耳を大きく広げ、聞き取った。

 

ヘンショウは作業行程を話している。

自分が聞き取れたのは、

これまで3ヶ月ぐらい掛かっていて、

太陽が出た日に、

ニスやらペンキやらを繰り返して塗って

今の状態になった事。

そして、HONDAのTシャツを来たお父さんは、

日本の素材や技術をえらい褒めていた。

 

更にヘンショウの早口は続いて、

作業台に転がっていた「BOSCH」のインパクトを手に持ち、

日本のmakitaは幾ら位するのか聞いて来た。

詳しくないが大まかに計算しても、

3ヶ月掛けて一生懸命に作り上げた目の前の棺桶と

日本のmakita一台は同じ金額…

少し申し訳なく思ってしまう…

 

良い事を思い付いた!

丁度旅に出る前に、

makita製品についての話を友人達としていて

ある国ではインパクト自体を

「makita」と呼ぶと教えてもらっていた。

そんな誇らしげなメイドインジャパンのTシャツを

友人が探してくれて、餞別にもらっていたのだ!

ユウスケ君ありがとう!

そしてこの餞別、

日本の裏側、グアテマラの棺桶職人に繋げるぜ!!

 

この後、

一生懸命に作られたシルバーに光る棺桶は

町の納品場まで持って行かれた…

 

 

 

 

 

 

 

 

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